モンドセレクションの日本酒・焼酎商品について

あらゆる商品の技術的水準を審査するモンドセレクション。1961年、ブリュッセル郊外に設立されました。モンドセレクションの各賞を受賞した商品は、信頼の証として世界で愛されています。

今回は、評価基準や受賞傾向から、実際に受賞した日本酒・焼酎商品や各賞を獲得するためのポイントについて紹介をしていきます。

モンドセレクションの日本酒・焼酎商品の評価基準

モンドセレクションは、毎年10月~1月に応募受付を行います。その後、4ヶ月間かけて80名の有数な国際専門家が下記のような食品をはじめとするあらゆる商品に対しての審査、評価を行います。

・蒸留酒、リキュール
・ビール、その他の飲料
・食品
・菓子
・穀類製品
・タバコ
・化粧品、トイレタリー
・ダイエット、健康
・水道水

専門家たちによって「味覚」「衛生」「パッケージに記載されている成分などが正しいか」「原材料」「消費者への情報提供」の各事項が点数化され加点方式で各賞が決まります。

日本酒、焼酎ともに評価基準として、味覚や原材料に加え、製造されている環境やパッケージといった細かな箇所まで点数の対象となるのです。

モンドセレクションの日本酒・焼酎商品の受賞傾向

モンドセレクションにおける評価課程は、通常の試飲を遥かに超えた数で実施されます。専門家たちが、味や香りをはじめ、質感、風味、口当たり、他に関連する官能基準の評価に加え、使用される成分や製品の構成に関する情報の明確さ、パッケージ、使用方法の容易さ取扱証明書まで確認しています。

また、モンドセレクションの審査員には、25年以上のキャリアを持った人も在籍しています。豊富な経験を持った審査員たちによって公正かつ最良の保証は、日本酒や焼酎の品質を確実なものとしているのです。

それでは、モンドセレクションの日本酒・焼酎商品の受賞傾向について見ていきます。

日本酒の受賞傾向

日本酒は、日本では当たり前の主食である米が原料のお酒であるため、海外で受け入れられにくいお酒というイメージがあります。しかし、近年の日本ブームによって海外でも日本食や日本酒が人気を集めてきております。一方、日本国内では国内消費の低迷や若年層の酒離れから、存続が厳しい状況を迎えている酒蔵も増加しています。

海外では人気が上昇している日本酒や焼酎ですが、国内では製造の危機という反比例した現象が否めません。この状況を回避すべくM&A(企業・事業の合併や買収)を取り入れたり、海外への知名度を上げる日本酒造りに取り組む酒蔵も出てきました。近年、このような努力を重ねた日本酒の受賞が目立ちます。

それでは、近年モンドセレクションを受賞した酒蔵をご紹介します。

広島県にある株式会社三宅本店・賀茂鶴は、グローバル化を図り、2011年に上海へ進出、海外での知名度をあげています。2004年〜2015年の長きに渡り、モンドセレクションを受賞しました。

福島県の株式会社榮川酒造は、2016年に株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングスの子会社となり、榮川の140年の歴史を誇る日本酒「榮四郎」の製造を継続させたのです。その結果、2017年にモンドセレクションを受賞しました。

焼酎の受賞傾向

国内の日本酒離れが加速する一方、ブームとなったお酒が焼酎です。焼酎は、日本酒に比べると種類が多くリーズナブルで太りにくいということもあり、老若男女から支持されるお酒となりました。水割りやお湯割りの他にも、緑茶やソーダなどさまざまな飲料水と割って楽しめることから、海外でも注目がされています。

焼酎造りも日本酒と同じように後継者の減少や若年層の酒離れなどにより存続が危ぶまれる酒蔵も出てきております。

このような状況のなか、市と協力して耕作放棄地と遊休農地の解消と合わせた焼酎造りで、市のイメージアップに取り組んだ市内で収穫した甲斐の本格芋焼酎「大弐」は2018年にモンドセレクションを受賞しています。

日本酒、焼酎ともに近年、モンドセレクションを受賞している商品の品質や風味、パッケージなど細分化に渡り高い評価を得ています。

それに加えて「酒造りへの環境作りや製造維持の創意工夫」「海外進出でのシェア拡大」「酒造りに関わる多くの人の努力」などの日々の積み重ねによって作られた商品が受賞していることがわかります。

過去モンドセレクションを受賞した日本酒・焼酎商品を紹介

後継者不足や酒離れなどの要因で存続の危機を迎えた酒蔵もあるなか、努力の甲斐あって日本酒、焼酎ともにモンドセレクションを受賞している商品があります。

それでは、過去に受賞した日本酒・焼酎をご紹介していきます。

優秀品質最高金賞

日本酒 製造元 焼酎 製造元
羅生門 龍寿 田端酒造 若潮 樵 若潮酒造
清酒 男山 純米 大吟醸 男山株式会社 那由多の刻 雲海酒造
笹屋茂左衛門 白龍 特選 隠し蔵 濵田酒造株式会社

優秀品質金賞

日本酒 製造元 焼酎 製造元
渓流 朝しぼり 遠藤酒造場 舞ここち 観光酒蔵肥前屋
奥の松 奥の松酒造 紅芋 命の美禄 櫻の郷酒造
大坂屋 長兵衛 大関株式会社 千年の眠り 株式会社 篠崎

優秀品質銀賞

日本酒 製造元 焼酎 製造元
千福 ふくぱっく 三宅本店 黒糖焼酎じょうご 富岡製糖
梅乃宿 純米酒 梅乃宿 ヘベスクール 京屋酒造有限会社
五百万石 友寿 愛友酒造株式会社 松藤3年古酒 崎山酒造

優秀品質銅賞

日本酒 製造元 焼酎 製造元
白鶴酒造 大吟醸 白鶴酒造 ゴールド秘酎 英川酒造
残波 比嘉酒造場 甕雫(かめしずく) 京屋酒造
宝嶺吟醸 榮川酒造 爆麦 光武酒造場

モンドセレクションで各賞を受賞するためには、以下の条件を満たすことが必須です。

・最高金賞 : 90%以上の得点を得た参加商品
・金賞   : 80%以上の得点を得た参加商品
・銀賞   : 70%以上の得点を得た参加商品
・銅賞   : 60%以上の得点を得た参加商品

上記の通り60%に満たない商品の場合は受賞の対象にはなりません。各賞の他にも以下の場合には、トロフィーが授与されます。

インターナショナル・ハイクオリティー・トロフィー

最高金賞、金賞の優秀品質賞を3年連続達成した商品に与えられます。

クリスタル・プレステージ・トロフィー

最高金賞、金賞、銀賞、銅賞などの優秀品質賞を10年連続達成した企業に与えられます。

25周年記念トロフィー

最高金賞、金賞、銀賞、銅賞などの優秀品質賞を25年連続達成した企業に与えられます。

モンドセレクション各賞を日本酒・焼酎商品で獲得するポイント

それでは、モンドセレクションにおいて各賞を獲得するためのポイントはどのようなものなのか見ていきます。

評価基準

モンドセレクションの審査員は、20の評価基準から構成されるテースティングシートを使用しています。このシートを用いて公平な立場より評価が行われます。

また、最低8名の専門審査員にて審査員グループは構成され、モンドセレクションでの経験豊富な審査員が議長を努めます。

官能的評価

評価は、化学・細菌学的分析及び分析結果をラベル内容と照合した正当性も含めた品質の総合分析結果となります。食品部門の官能審査は、以下のような評価基準で審査されます。

・味
・香り
・質感
・風味
・口当たり
・パッケージ
・取扱説明書

モンドセレクションの審査員たちは、ユーラシア大陸・アフリカ大陸・南北アメリカ大陸・オーストラリア大陸・南極大陸といった5大陸全ての食文化に関する優れた知識を持っています。日本酒・焼酎も慎重に評価しながら審査員たちの経験が共有されて各賞が決定していくのです。

まとめ

今回は、モンドセレクションの食品基準から日本酒・焼酎の受賞傾向や受賞するためのポイントをご紹介してきました。

モンドセレクションは、1961年から続く由緒ある品評機関です。モンドセレクションの各賞は、各分野に特化した審査員たちによる評価が加点方式によって決まります。

過去に日本酒・焼酎でモンドセレクションを受賞してきた商品は、官能的評価にだけでなく、弛まぬ日々の努力や製造者たちの酒造りへの想いが込めて造られているということを理解した上で、これからの商品開発に活かしてみてはいかがでしょうか。